今年(2017年)創立20周年を迎える長岡京室内アンサンブルのCD第8弾は、モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲と、メンデルスゾーンの(もうひとつの)ヴァイオリン協奏曲二短調2曲の組み合わせです。
協奏曲はヴィヴァルディの「四季」(MF20106)につづく2枚目で、今回もメンバーがソリストをつとめています。安紀ソリエールと高木和宏は創立時からのメンバー、成田寛は2010年から参加しており、創立時からソリスト級の奏者を数多く揃えている長岡京室内アンサンブルならではの布陣といえます。
モーツァルトとメンデルスゾーンには多くの共通点があリます。共に幼少期より英才教育を施され、ヨーロッパ各地への旅からの影響も受け、さらにそれぞれの姉であるナンネルとファニーと切磋琢磨しながら、幼少期より才能を開花させました。
モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲K.364は1779年の作品で、すでに1775年の作品である3番から5番のヴァイオリン協奏曲での豊富な経験もあり、23歳にして深い円熟の境地を示しています。
一方のメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、ホ短調があまりにも有名ですが、(もうひとつの)ニ短調の協奏曲はメンデルスゾーン邸宅内のホールで毎週開かれていた日曜音楽会で1822年(13歳)ごろに初演されました。1951年にユーディ・メニューインが自筆譜を発見し、メニューインの独奏で1952年2月4日ニューヨークのカーネギーホールで初演されています。
近年メンデルスゾーンの研究が進み、250曲程の作品が発見されたので、モーツァルト36歳、メンデルスゾーン38歳の短い生涯の中で、共に約750曲と数多くの作品を残しました。
そして何より2人の作曲家に共通するのは、演奏する上でのある種の難しさです。森悠子&長岡京室内アンサンブルのモーツァルトでは、風や水の流れといった自然をも感じさせる他に類をみない演奏で定評があリますが、それがメンデルスゾーンにも反映して、流麗で生き生きとした心踊る演奏を生み出しています。
モーツァルトは前作(第7弾)のモーツァルトの「ローディ」などと同時期に、メンデルスゾーンは浜離宮朝日ホールでの東京公演の折に収録しています。