近年の東京交響楽団充実ぶりは、従来にも増して目覚ましいものがあります。第21回ミュージック・ペンクラブ音楽賞(2008年度)コンサート・パフォーマンス賞(日本人アーティスト)を受賞したのはその表れのひとつであり、音楽誌では日本のオーケストラの最高位選ばれたほどです。
その大きな推進力になっているのが、40年にわたり心血を
注いで東京交響楽団を育て上げた秋山和慶のあとを継いで、音楽監督の任に就いたユベール・スダーン。
ユベール・スダーンは、13年間にわたるザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団の音楽監督を経て、2004年に東京交響楽団の音楽監督に就任しました。
スダーンはハイドンをその出発点と定め、モーツァルト、ベートーヴェンといった古典作品を東京交響楽団のプログラムの中心に据え、さらには昨年度(2008年)のシューベルト・チクルス、本年度(2009年)のシューマン&ブラームス・チクルスを展開し、楽団の実力を一層高めています。
ブルックナーの交響曲第7番は、2日間にわたり本拠地ミューザ川崎シンフォニーホールでセッションにより録音されましたが、スダーンとともに古典作品で培った緻密な音楽が極めて自然に作りだされており、ホールの響きを知りつくした指揮者とオーケストラによって、深い味わいのある熟成した響きがホール空間いっぱいに満たされました。
ベルリン・フィルをはじめとする世界の第一級のオーケストラの指揮を数多く経験したスダーン自身が、録音の終了後に「東京交響楽団は今や世界のファースト・クラスのオーケストラに成長した」と確信をもって語りましたが、このCDはそれを裏付ける世界に誇るべき録音の完成といえるでしょう。
ハイブリッドSACDを2001年創立以来推進してきたfine
NFレーベルは、SACDのさらなる発展を期して、昨年(2008年)9月にSACDとCDを分離して発売することを宣言し、「神谷郁代のシューベルト」(2008年度ミュージック・ペンクラブ音楽賞)と長岡京室内アンサンブルの「ブリテンとラテン」の2作品をすでに発表しましが、本作品はその第3作としてSACDとCDを分離して発売いたします。