ジョセフ・リン Vn

 

4タイトル

モーツァルトをデア・リング東京オーケストラと協演
 夢のような美しさ

   夢のような美しさ!

   モーツァルト

   ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調 K.219「トルコ風」 (カデンツァ:ジョセフ・リン)

     ジョセフ・リン ヴァイオリン&指揮            

   交響曲第29番イ長調 K.201

   西脇義訓 指揮

     デア・リング東京オーケストラ

CD: NF25806  希望価格: 2800円+税

  録音:府中の森芸術劇場「ウィーンホール」 2016年6 月21,22日 (協奏曲) 6月23,24,25日 (交響曲)

凛とした佇まい
 魂のシャコンヌ〜和声を介した連続の旅

 ジョセフ・リンは、中国(台湾)系アメリカ人で、4歳からヴァイオリンを始め、ジュリアード音楽院プレカレッジから名門ハーバード大学の神学部に学んだ、特異なキャリアを持つヴァイオリニスト。マールボロー音楽祭で共演した内田光子、タングルウッド音楽祭で協演した小澤征爾、リンと同じくハーバード大出身のヨーヨー・マからも、若手のホープとして期待を集める新星です。

 「イザイの無伴奏ヴァイオリン作品と、バッハのそれとの間には数々の関連性がある。私は曲と曲との間の和声的な関係に惹かれ、4つの作品を、連続的した発展性のある音楽表現にしようと考えた。」とリン本人が語っているように、このディスクは全体ひとつの有機的な関連性で構成されています。

 日本には2002年以来毎年訪れ、数々のリサイタルや新日本フィルとの協演などを行い、深い知性、高潔な人柄、深い精神性で奏でる「魂のヴァイオリニスト」との評価を得ています。

ジョセフ・リン/魂のシャコンヌ

 1)イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第6番 ホ長調(M.キロガに)  

 2)バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV 1003

 3)イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 イ長調「バラード」(G.エネスコに)

 4)バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番二短調 BWV1004(シャコンヌつき)

★エクストラ・トラック(CD層のみ)

 5)チャン・イ・チェン:「凝視」―地震の犠牲者への追想―

 

ジョセフ・リン(ヴァイオリン)/ 5)のみ 松岡 淳(ピアノ) (ライヴ収録)

ハイブリッドSACD (CD, SACD Stereo, SACD 5.1Surround)

通常のCDプレイヤーでも再生可能 NF63001 希望価格:4,500(税込) 

発売日:2005年12月

録音:2005年1月25-28日 魚沼市小出郷文化会館(新潟県)

録音方式:DSD5.1マルチ・チャンネル録音 SFネイチャー・サラウンド

使用楽器:ジョバンニ・バチスタ・ロジェーリ

     1705年 GIOVANNI BATTISTA ROGERI (1650-1728)

 

バッハとイザイ~和声を介した連続の旅  ジョセフ・リン

 

 今回、無伴奏のヴァイオリン曲を集めたディスクを録音するというまれに見る機会に恵まれたとき、バッハとイザイの作品を取り上げるのはごく自然なことに思われた。作品を選び順番を考えるにあたって、私は聴く人にひとつの曲からつぎの曲へと連続して旅をしているような印象を与えたいと願った。イザイはバッハに触発され、みずからが無伴奏ヴァイオリン作品を書く際には、バッハの作品の裏にある精神を現代的に表現したものを意図した。そのためイザイの無伴奏ヴァイオリン作品と、バッハのそれとの間には数々の関連性がある。今回の録音では、私は曲と曲との間の和声的な関係に惹かれ、4つの作品を、ある意味で連続的した発展性のある音楽表現にしようと考えた。イザイのソナタ第6番のホ長調は、バッハのソナタ第2番イ短調とは属調の関係にあり、バッハの同曲の終楽章のイ長調はイザイの無伴奏ソナタ第3番バラードの冒頭に再現し、この種子から導入部を経過しながら、属音の和音としてバラードの調性であるニ短調がゆっくりと姿を現す。そしてこのニ短調の調性はバッハのパルティータ第2番の5つの楽章の中で再確認され、壮大なシャコンヌで頂点に達する。

 これらの曲をひとつに結んでいる和声的な関係と、それに対応した旋律的な結びつき(それぞれ曲の最後の音と、つぎの曲の最初の音とが同じである)は、曲と曲との間の感情をつなぐ枠組みになっている。スペインのヴァイオリン奏者マヌエル・キロガに献呈されたイザイのソナタ第6番は、躍動するハバネラのリズムをそなえ、若々しい力強さと、(もっとも甘やかな部分では)切ないロマンスが生き生きと表現されている。バッハのソナタ第2番は、瞑想的なアダージョで始まり、イザイの曲の息もつかせない激しさからの、ひと休みを提供する。続くフーガは簡潔な動機で始まるが、繰り返しとともにドラマが高まり、力もしだいに強まっていく。このフーガの動機が発展したすえに、最初の問いかけに対して、最後のカデンツァではっきりと応答が返される。バッハの無伴奏ヴァイオリン作品の中でも、最高に美しい曲のひとつであるアンダンテ楽章では、さりげなく繰り返される低音部の旋律がテンポを刻むと同時に、時を超えた世界へと私たちを運び去るようだ。反復はアレグロでも使われているが、ここではこの活気と生気がみなぎる終楽章を輝かしく盛り上げるエコー効果をもっている。

バッハのソナタ第2番の最後の音から生まれてくるのが、イザイのソナタ第3番バラードである。ヴァイオリン奏者のジョルジュ・エネスコに捧げられた曲で、情熱的で苦悩にみちた、高度な技巧を必要とする曲である。興味深いことに、さまようような、だが激しくもある半音階は、繰り返しニ短調の調性にもどってゆく。あたかも、バッハのパルティータ第2番の5つの舞曲で使われている調性へとつながる、より大きな音楽的ドラマを求めているかのようだ。ニ短調のパルティータの頂点はシャコンヌであり、このディスクの中で最も大きな(形式的にも、そして感情表現の深さも幅も大きな)曲になっている。

 

■エクストラ・トラックについて
 新潟県小出市でこのディスクを録音する合間に、私たちは2004年10月23日に同地方を襲った地震による被害者、および12月26日に東南アジアを襲った津波による被害者のための義援金を募るコンサートを開いた。そして苦しんでいる方々のために、私たちは「凝視」―地震の犠牲者への追想― を演奏した。これは私のいとこのチャン・イ・チェン・が、1999年9月21日に台湾を襲った地震による被害状況を、生まれ故郷で目撃したあと作曲したものである。このCDは、それらの罹災者の方々を含め、最近各地で起きた壊滅的な自然災害の罹災者の方々に捧げられている。

 

■ヨーヨー・マからのメッセージ

 ジョセフとは彼がハーバード大学の学生だった時に会い、その演奏を聞く機会に恵まれました。

 ジョセフは非常に才能あふれる音楽家です。演奏テクニックと専門分野である神学との結びつきが、「音楽」と「音楽の社会における役割」についてのユニークな見方を、彼にもたらしています。

 ジョセフの演奏テクニックと音色は素晴らしく、徹底的な作品研究から産み出される洞察力と思慮深い表現が、演奏に反映されています。

 2000年にハーバード大学を卒業後、芸術性をより深める道を選択した彼は、ほとんどのアーティストが滅多に通らない道を歩きつづけています。

 音楽家仲間として、この特筆すべき若者の成長を見守ることは楽しいことです。

(ヨーヨー・マ自身1976年にハーバード大学を卒業し、人類学の学位を取得している)

 

■リンの録音を聴いて

 私は仕事柄、世界中で発売された数多くのスーパー・オーディオCDを聴いているが、fine NFレーベル初のヴァイオリン・ソロとなるこのディスクの最初の音の出だしから、きわめて透明感の高い、伸びやかなヴァイオリンの音色に驚かされた。

 ホールの自然なアンビエンスの中に定位する、演奏者の大きさと位置は、左右のスピーカーに対してまことに適切で、録音側の意図的なアレンジやオーディオファイル受けしそうな、これ見よがしなHiFiテイストは一切感じられない。これはfine NFの録音に一貫した特色だが、このディスクにはたぐい稀な透明感、ストレスのない音の伸びに加えて、普通演奏者にしか聴くことができないと思える、奏法、運指が見えるかのような臨場感に圧倒される。

【澤田龍一(マランツ音質担当マネージャー)】

以心伝心 魂のヴァイオニスト

 バッハとイザイ〜円を描く音楽の旅

「魂のシャコンヌ~和声を介した連続の旅」(NF63001)につづく、ジョセフ・リンの「バッハとイザイ~円を描く音楽の旅」(NF53002)の録音が、音響の良さで定評のある<すみだトリフォニーホール>で2007年2月に行われました。

 バッハとイザイの無伴奏を組み合わせた全曲録音シリーズは、世界初の試みと思われますが、リンはこの録音のためにだけ来日し、万全の体制で3日間のセッションに臨みました。

すぐれた演奏家は、ホール空間を活かしきる耳と感性をもっています。ジョセフ・リンがまさにそれで、彼はヴァイオリンだけではなく、ホールを弾いているといっても過言ではありません。

録音はその一部を一般にも特別に公開、世界の名ホールにもひけをとらない音響を誇る、すみだトリフォニーホールは至福の時で満たされました。

2007年6月11日には、新録音発売記念コンサートを同じく<すみだトリフォニーホール>で開催し、本ディスク収録の1曲目(バッハ:パルティータ3番)と2曲目(イザイ・ソナタ2番)も演奏し、リンならではの深い響きの音色で聴衆を感動に誘いました。

 

ジョセフ・リン/バッハとイザイ~円を描く音楽の旅

 1)バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV 1006

 2)イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調(J.ティボーに)

 3)バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番 ロ短調 BWV1002

 4)イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第4番ホ短調(F.クライスラーに)

★EXTRA TRACK(CD層のみ)

 5)盛宗亮(ブライト・シェン):小河淌水(The Streame Flow)より

ジョセフ・リン(ヴァイオリン)

ハイブリッドSACD (CD, SACD Stereo, SACD 5.1Surround)

通常のCDプレイヤーでも再生可能 NF53002 希望価格:4,500(税込) 

発売日:2007年6月

録音:2007年2月8-10日 すみだトリフォニーホール(東京)   

録音方式:DSD5.0マルチ・チャンネル録音 SFネイチャー・サラウンド 

使用楽器:ジョバンニ・バチスタ・ロジェーリ

     1705年 GIOVANNI BATTISTA ROGERI (1650-1728)

■バッハとイザイ~円を描く音楽の旅〜ジョセフ・リン

 バッハとイザイによる無伴奏のヴァイオリン作品を取り上げたアルバムの第二弾は、私たちの音楽の旅の続きだ。今回収録された作品は、調性の面でも感情の面でも、円を描く旅になっている。このアルバム全体を通してさまざまな音楽的要素が繰り返し顔をだし、楽章同士のあいだに、そして作品同士のあいだにまで、ある種の絆を生みだしているのだ。音楽が私たちの記憶の中で鳴り響き、前に聴いた音が、べつの文脈の中でも聴き取れる。

 

 推薦

■真空管アンプの製作とSPの復刻でも名高い、新忠篤氏)から寄せられたコメントです。

「素晴らしい演奏で、圧倒的な音です。

 まさに理想のヴァイオリンの音が録らえられています。

 SPから現代まで数多くのレコードを聞いてきましたが、その中でも出色のものです」【新忠 篤】

 

魂のヴァイオニスト第3弾

 バッハとイザイ〜新しい旅のはじまり

「魂のシャコンヌ~和声を介した連続の旅」(NF63001)、「バッハとイザイ~円を描く音楽の旅」(NF53002)に続く第3作「バッハとイザイ~新しい旅のはじまりは」が世界初となるガラスCD先行で発売されます。

バッハとイザイの無伴奏を組み合わせた全曲録音シリーズは、世界初の試みと思われますが、「バッハとイザイ~新しい旅のはじまりは」はその完結編にあたるもので、今回は所沢ミューズアークホール(2000人収容)で収録されました。前作の「バッハとイザイ~円を描く音楽の旅」(すみだトリフォニーホールで収録)と同様に一部を公開せて収録されました。

 ジョセフ・リンは今回もこの録音のためにだけに来日し、万全の体制で3日間のセッションに臨みました。

)バッハ|無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV1001

2)イザイ|無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番ト短調 (J.シゲティに)

3)イザイ|無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第5番ト長調(M.クリックボームに)

4)バッハ|無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調 BWV1003

★エクスト・トラック

5)ジョセフ・リン|シェーズ<陰影>ーヴァイオリンとコントラバスのための 

 

ジョセフ・リン(ヴァイオリン), 黒木岩寿(コントラバス/5)

SACD(Stereo+5.1 Surround) NF53003 希望価格:4,000(税込)

CD (DSD to finest CD) NF23003 希望価格:3,000(税込)

発売日: 2011年9月20日

録音:2009年6月1~3日 

所沢市民文化センター ミューズアークホール(埼玉)   

使用楽器:ジョバンニ・バチスタ・ロジェーリ 1705年 

     GIOVANNI BATTISTA ROGERI (1650-1728)

■バッハとイザイ~新しい旅のはじまり       ジョセフ・リン

3枚目にして最後のディスクを録音するにあたり、

私は最終地点に達したというより、

長い探求の旅の出発点にいるように感じた。

 

ジョセフ・リン (ヴァイオリン・指揮)

   台湾系アメリカ人。1978年米国メンフィスに生まれる。4歳からヴァイオリンをはじめ、ジュリアード音楽  

   院プレカレッジを経てハーバード大学比較宗教学部(2000年優等賞をもって卒業)に学んだ、特異なキャリ

   アを持つ音楽家。

   96年、アメリカ合衆国大統領芸術奨学生となる。99年プロ・ムジシス・インターナショナル・アワードを最

   年少の21歳で受賞。04年にはフルブライト奨学生として中 国に渡り、中国音楽学院で古琴をはじめとする中

   国音楽を研究した。これまで、ボストン響、新日本フィル、キエフ国立フィル、フィルハーモニア台湾などと

   共演。コンセルトヘボウ(アムステルダム)、シンフォニーホール(ボストン)、ウィグモア・ホール(ロン

   ドン)、サル・コルトー(パリ)、ケネディ・センター(ワシントン DC)、ヴァイル・リサイタルホール

   (ニューヨーク)、サントリーホール(東京)などに出演し、マルボロ、シアトル等の音楽祭にも定期的に参

   加している。 室内楽では、フォルモサ・クァルテットの創立メンバーとして 06年ロンドン国際弦楽四重奏コ

   ンクールに優勝。11年からはジュリアード弦楽四重奏団の第一ヴァイオリン奏 者として、世界各地で活躍し

   たが.第4子の誕生を機に家族とより多くの時間を過ごしたいとの理由から、2017/2018年のシーズンで退任した。

 11年からはジュリア ード音楽院で後進の指導にあたっているが、これは継続される。