荒絵理子 オーボエ・ソロ! |
月の光 |こうもり変装曲 |
このCDは、東京交響楽団の首席オーボエ奏者、荒絵理子のファースト・アルバム。荒絵理子委嘱作の「こうもり変装曲」を含む7作品が収録されており、ドビュッシーの有名な「月の光」ではじまり、このCD全体のムードを暗示している。
オーボエのオリジナル作品は多くはないが、2曲目からの3作品はオーボエのためのオリジナル作品を配している。2曲目のカリヴォダの「サロンへの小品」はオーボエ奏者がしばしば取り上げる名曲である。カリヴォダはボヘミアの作曲家で、オーケストラでヴァイオリンを弾いた後、22歳からプラハ歌劇場管弦楽団でヴァイオリニストを務めたのち、21歳から43年間ドナウエッシンゲンの宮廷楽長をつとめ、数百に上る作品を残している。3曲目はシューマンの代表作のひとつ「3つのロマンス」で、妻クララへのクリスマス・プレゼントだと言われている。ヴィオラ、クラリネット、チェロでも良く演奏されるが、元はオーボエのためのオリジナル作品である。
4曲目はドニゼッティの20代前半に作られたオーボエ・ソナタ。後にオペラ作曲家として大成することを予感させる、歌に満ち溢れた作品である。
続いて荒絵理子が大好きなオペラから2曲。ドヴォーザークの歌劇「ルサルカ」の「月に寄せる歌」は、ソプラノのための数あるオペラ・アリアの中でも最も美しいアリアだ。続くはこのCDのハイライトともいうべきヨハン・シュトラウス2世の「こうもり」、荒絵理子がもっとも愛するオペレッタである。世相をも映し出す「こうもり」から生まれた編曲、パラフレーズは数知れず、作曲者自身も「こうもりのカドリーユ」という名のメドレーを書いている。「こうもり変装曲」は荒絵理子がピアノと編曲の才人山洞 智に委嘱した作品であり、「シャンパンの歌」、アリア「侯爵様あなたのようなお方は 」など誰もが知っている「こうもり」の名場面が巧みにつなぎ合わされ、聞き手を飽きさせない。まさにオーボエの魅力満載である。
最後は、アニメ映画「もののけ姫」から「アシタカせっ記」。1997年夏に公開された久石譲の映画「もののけ姫」から、摩訶不思議な郷愁を誘う調べだ。
アシタカは主人公の名前で、「せっ記」とは伝聞(口伝)の意味。正史には残らない辺境の地に生きたひとりの勇敢で心優しい若者のことを、人々はいつまでも忘れずに語り継いできた。
荒絵理子 オーボエ・ソロ!
1.ドビュッシー(1862-1918) arr.Satoshi Sando
月の光
2.カリヴォダ (1801-1866)
サロンのための小品 作品228
3.シューマン(1810-1856)
3つのロマンス 作品94
4.ドニゼッティ(1797-1848)
オーボエ・ソナタ ヘ長調
5.ドヴォルザーク(1841-1904) arr.Satoshi Sando
月に寄せる歌 〜 歌劇「ルサルカ」
6. J.シュトラウス2世(1825-1899)/山洞 智編
こうもり変装曲 オーボエとピアノのための
7. 久石 譲(1950- ) arr.Ippei Inoue
アシタカせっ記(映画「もののけ姫」から)
荒絵理子(オーボエ) 山洞 智(ピアノ)
CD:MF29001 定価:2,800円+税
録音: 神奈川県立相模湖交流センター2017年1月26、27、29日
三鷹市芸術文化センター「風のホール」2017年3月14、15日
「こうもり変装曲」について
「こうもり」は荒絵理子がもっとも愛するオペレッタ、
「こうもり変装曲」は荒絵理子のファーストCD制作に際して、ピアノと編曲の才人、山洞智へ委嘱したオーボエとピアノのための新作です。
「侯爵様あなたのようなお方は」「シャンパンの歌」など誰もが知っている「こうもり」の名場面、名旋律が次々に現われ聴き手を飽きさせません。
欧文タイトルは“Die Fledermous Paraphrase”。Paraphraseには「楽器を置き換える」という意味がありそこからの連想と、第2幕の夜会ではロザリンデの「変装」の場面があることから、日本語タイトルを「こうもり変装曲」としました。
荒絵理子プロフィール
東京音楽大学卒業。2002年第19回日本管打楽器コンクール第4位。2004年第73回日本音楽コンクールで第1位(審査員満場一致)、併せて岩谷(聴衆)賞、E.ナカミチ賞を受賞。2009年度第20回出光音楽賞受賞。2010年度市川市民文化芸術賞奨励賞受賞。N響アカデミー生を経て、2009年より東京交響楽団首席を務める。
ソリストとして新日フィル、ニューフィル千葉(現千葉交響楽団)、セントラル愛知響、九響、東響、東京シティ・フィル等と共演。
幼い時より音楽教師である両親の影響で、ピアノ、ヴァイオリンを習い、フルート、打楽器にも親しんできたが、中学校の吹奏楽部顧問の勧めで名前も知らなかったオーボエを始める。似鳥健彦、和久井仁、東京音楽大学で宮本文昭に師事。卒業後、小林裕、広田智之に師事。
2002~2007年小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトⅢ~Ⅷに参加。水戸室内管弦楽団、サイトウ・キネン・フェスティバル松本(現セイジ・オザワ松本フェスティバル)、ドイツ・バッハ・ゾリステンにも参加した。
2013年度ローム・ミュージック・ファンデーション奨学生として1年間ドイツ留学。
2016年2月テレビ朝日系「報道ステーション」に生出演。
現在、東京交響楽団首席オーボエ奏者の他、横浜シンフォニエッタ、ナガノ・チェンバー・オーケストラ、東京六人組のメンバーとしても活躍し、五嶋みどりが理事長を務めるミュージック・シェアリングで全国各地の学校を訪問している。
2016年2月テレビ朝日系「報道ステーション」に生出演 (写真参照)。
現在、東京交響楽団首席オーボエ奏者の他、横浜シンフォニエッタ、ナガノ・チェンバー・オーケストラ、東京六人組のメンバーとしても活躍し、五嶋みどりが理事長を務めるミュージック・シェアリングで全国各地の学校を訪問している。
N&Fは、高品位録音をベースに、 日本初のハイブリッドSACDや、 世界初のガラスCDを世に送り出す等、 高音質ディスクの興隆に尽力しています。
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